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イノウエさん 好奇心 blog

井上慶太郎の学術系スナップショット。月1予定。

ショーペンハウワー2016

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年始はソウルから

 詩人は花をもたらす人に、哲学者その精をもたらす人になぞらえることができる。

2016年、今年も張り切ります。
ところで、なぜ好奇心ブログを書いているのか、簡単に書いてみます。

理由は、言葉はお守りだからです。必要ではないけど持ってるだけで、あるとき効力を発揮するような、お守りです。

例えば、こんな文章に出会ったとき。

 詩人は人生の絵図を人の想像力に描いてみせ、それらすべてを活動させ、(略)これらの絵図に触れて考えを運ぶのに委せる。(略)これに反して哲学者は、詩人のようなやり方で人生そのままを示しはしない。彼らはそこから引き出してきた整頓された思想をもたらし、その上で、彼の読者が彼と同じように、また彼と同じ所まで考えを進めることを要求する。このことのために、彼の読者層はすこぶる小範囲に限られてくる。
 こういうわけで、詩人は花をもたらす人に、哲学者その精をもたらす人になぞらえることができる。

『知性について』ショーペンハウワー P12

もともと自分は仕事で絵を描く機会があるんですが、実際に色や構図を考えるときと、哲学や社会学系の文章を書くときの違いについて、こんな風に思わされる。
その違いは、人の想像力に働きかけるか、理性に働きかけるか、じゃないかと。
そんな風に、なんとなく思わされていたところ。
ちょうど良い流れで、このショーペンハウワーの言葉に遭遇したんです。おかげで、しっくり安心できる言葉の効力に触れました。

ところで、絵を描くとき、文章を書くとき、どちらも自分を駆り立てる何か、共通項があります。

それは、大げさなものではないですが、どちらも共通するところからエネルギーが湧いてきます。そんな風に思うと、また、あるお守りと遭遇します。

 鳥はまだ知らないひなのために巣を作る。ビーバーは目的も解らずに建造物を築く、アリ、ハムスター、ミツバチはそれらの知らない冬のために蓄えを集める。クモやアリ地獄はそれらの知らない将来の獲物のために慎重な計略によるかのように罠を作る。昆虫はやがて生まれてくる幼虫がいつか食物を発見できるような場所に卵を産む。
(略)
 雄のクワガタムシの幼虫は、変態に備えて木に穴をあけるとき、この幼虫はその穴を雌の二倍の大きさにかじりあけ、将来生える角のための余地を確保する。〜動物の本能は自然の持つその他の目的論を我々に最も良く説明してくれる。

『ショーペンハウワー全集2巻 』P294

こんな言葉です。

将来を予測できない動物と、統計予測を用いる人間は、まるで違う生き物ですが、まだ知らないことのために、ワクワクの動機はフル稼働させておきたいです。

好奇心ブログ
今年もよろしくお願いします。