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イノウエさん 好奇心 blog

井上慶太郎の学術系スナップショット。月1予定。

Zauber(ツァウベル)

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(5.16 updated)
見田宗介氏の『社会学入門』(岩波新書・赤版)から、ブログします。

去年も紹介したこの著書ですが、今日、取り上げるのは序章から6章あるうちの、第1、2章です。
ページ数にして40ページ強。この中に好奇心膨らむ物語が、詰め込まれてます。

雑駁ながら語られてるテーマ、内容、要約、を下に列記しました。

小見出しは本文のものではないです
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社会学入門』
1章
旅での出会い
・山本満喜子さん(ナチスの海軍将校と駆け落ちした女性。相手の将校はドイツの潜水艦を盗んで、アルゼンチンへ亡命、満喜子さんは陸から合流、その後、ダンスクラブの事務員として働き、昼間は練習を続け、やがて世界的タンゴダンサーとなり、カストロゲバラの目に止まる。満喜子・カストロの信頼が唯一の日本=キューバの国交窓口だった時期もあったほど)という女性にスーパーで出会った話
・ペルーのバス停で話しかけてくる人たち、時間を費やすのでなく、時間を生きる人たちの話
など、語られてます。

世界初の公共時計
14世紀前半、ミラノなどイタリアの諸都市で設置。時間の枠組みの中に生活がはめられるようになる。時計の針は1本だった。その後、現代になるにつれ分針、秒針が加わり当時に比べ尺度が3600分の1に細分化された話

メキシコの死者の日
11月1日、2日に行われるメキシコの原住民(インディオ)の祭りは墓場で日夜宴会を行う。準備にも幾日もの時間を費やし、死者のための食事を用意するという話

アメリカの100ドル紙幣
”Time is money"の精神のベンジャミン・フランクリンは、近代化の象徴だが、一方、非経済的な生活習慣の絶滅が望ましい、との旨を手紙に残す話

など語られてます。

コモリン岬
2004年12月スマトラ沖大地震で、コモリン岬を津波が襲ったとき、インド空軍でも救助できなかった旅行者を、地元の漁師が救った話。

花への畏怖
手向くるやむしりたがりし赤い花
小林一茶が親しくしていた幼い少女に、摘みたがっていた花を添えた、という内容。

色の聖域
ローマ時代にも、聖徳太子の時代にも、最高位に紫が置かれた歴史的背景。
日本人は色彩に対しても、隠語を用いた。白いカミシモは、イロギ、イロカミシモ、と言うなど。

魔のない世界
ベートーヴェンの第九、第四楽章、大晦日に合唱される名曲で語られるシラーの詩。
1989年、ベルリンの壁が崩壊した時も、その後のオリンピックで東西ドイツの選手が金メダルを取った時も、1986年の東京サミットでEC代表が空港のタラップから降りてくる時にも、この合唱部分が演奏された、その背景。

ツァウベル(魔力)の行方
見田氏は、近代化することと、聖域が葬られることと、同時に進む両義性に対して、
「獲得するものの巨大と、喪失するものの巨大の、双方を見晴るかす空間へ思考を挑発してやまない」
と、章をしめます。

上記、たった新書の1/4程度の箇所で、さらっと読めます。
興味が広がるエピソード多いはずです。楽しめる人もいれば、このままではいかん、と思う人もいるかもしれませんが、オススメです。


社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)

社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)